1. バーテンダー佐々木のちょっと大人の酒談義VOL.1『MARTINI』について 1

ちょっと大人の酒談義


連載コラム「バーテンダー佐々木のちょっと大人の酒談義」


VOL.1 『MARTINI』について。

 マティーニとはなんぞや?と、いうあたりからお話してみたいと思います。ジンにベルモットを加えてステアし、オリーブとレモンピールを加えるだけ。と、至極シンプルなカクテルです。

 それなのに「カクテルの王様」、「カクテルアワーのサラブレッド」、「カクテルは マティーニに始まり、マティーニに終わる」等といわれるのはなぜでしょう?まずは、その味わいと香りの奥深さでしょうか?ジンとベルモットはどちらも、草や花などナチュラルな素材で香り付けがされていて、それが合わさる事でなんともさわやかな香りが広がります。また、現在はドライが主流なので、その辛さがキリリと心地よい。他の甘口カクテルに比べると酒らしい味わいを持ちます。

 また、シンプルな作り方故に、バーや作り手によってかなり味の違いが出るとこ ろも酒通の心をそそるのではないでしょうか。

 そして、他のカクテルとの一番の違いは、その歴史の重み。19世紀に登場して以来、アメリカの歴代大統領や数々の文豪、芸術家に愛された為、カクテルの1つと してだけではなく、一つの文化として存在しています。ハリウッド映画にも多数登場していますよね。

 では、その「マティーニ」はいつ、どのように誕したのでしょうか?マティーニといえばジンとベルモット。今でこそベルモットはドライが主流ですが、 19世紀中ごろはカラメルで甘味をつけたスイート・ベルモットの人気が高かった様です。

 そんな中、イタリアのマルティーニ社は花や柑橘類の香りが十分に引き出され、透明感の有る味わいのドライ・ベルモットを発売しました。しかし、最初はなかな浸透しませんでした。そこでマルティーニ社が目を付けたのが、ジンとスイートベルモットを半々で割った「ジン&イット」というカクテル。大流行していたそのカクテルのベルモットをドライ・ベルモットに変えて当初 「マルティーニ」という名前で発表しました。

 この苦肉の策は見事に大成功し、イタリアはもちろんヨーロッパ全土、遂にはアメリカへと進出していったのです。何の事はない、販売促進キャンペーンのひとつだったのですね。

 しかし、これは一説にしか過ぎず、他の伝説を支持する人もいる様です。アメリカのバーテンダーが作ったという説、また、カリフォルニアのマルティニ・ディ・アルマ・ティッジャというバーテンダーが石油王ロックフェラーの為に作ったという説も有ります。(続く)

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東京 八重洲口 国際観光会館2F エイボン 佐々木輝季氏 寄稿
エイボン http://www.kokusai-kanko.co.jp/fb/avon/
(写真左から2人目が佐々木さんです)
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